① 緑内障、目の奥の痛み ( 59才・女性 )


 今回は、間もなく還暦を迎えるご婦人の相談です。薬局入口のポスター「飲む目薬で、スマホ老眼予防」に、以前から関心があったそうです。薬局のホームページをご覧頂き、半年前に初回漢方相談のご予約を頂きました。

 

 閉経間際の49才で緑内障の診断を受け、その後長年、眼科で定期診察を受けていました。症状は少しずつ進行しており、今後完治は難しいまでも、せめて左目奥の痛みだけでも何とかして欲しいとのことでした。

 

 特にパソコンなどの事務作業の多い日や、スマホで長時間調べ物をした日ほど、眼精疲労と痛みはひどい。夕方から夜間に目元がショボつき、目を開けることすら億劫で、左目奥に何とも辛い痛みを覚えました。

 

 身長のわりに細身の体格で、若干猫背気味の姿勢が気になり、胃腸周辺の症状について念の為お尋ねした所、案の定のお答えが返ってきます。2人の息子さまが成人し家を離れ、ここ数年、食事を作る事も食べる事も共に関心が薄れてきているそうです。

 

 友人との外食の際、1人前の定食を完食できず、体重も閉経後4kgほど落ちています。食欲旺盛な友人から、しばし羨ましがられるそうだが、中々ご本人は太るに太れない。

 排尿は正常だが、便は硬めで毎朝難航し、週に2〜3回あれば良い方だといいます。

 

 ともあれ、現在は眼精疲労と左目の痛みが目下の悩みで、次回の運転免許の更新にも、大変な不安を感じているご様子でした。

① 漢方薬


 漢方の見立ては、肝(かん)の血虚(血液不足)が中心ですが、年齢相応の瘀血(おけつ;血流の低下)も気になりました。

 しかし、希望する眼科周辺症状の改善には、質の良い血(けつ)を生むことが先決です。そこで栄養吸収の源である脾(元気な胃腸)の立て直しを優先しました。

 

 これまで2種類の漢方薬(滋腎明目湯と補中医王散と併せ、途中から白彊蚕という健食を、追加でご案内致しました。朝に晩に真面目に服用を重ね、間もなく4ヶ月が過ぎようとしています。

 

 開始1~2週間あたりから、次第に食欲が増し始め、まずは一安心です。1人前をほぼ残さず完食出来るようになりました。今の所、緑内障の検査( 眼圧、眼底、視野検査 他 )、数値上では大きな変化はありません。

 

 ただ、視力は0.2ほど、僅かながら回復がみられ、先月の運転免許の更新も、何とか無事パスできたそうです。

 そして何より、今回の主訴「目の奥の痛み」が随分と和らぎ、その点が一番感謝されました。

 ( 開始1ヶ月半で、ほぼ気にならない程度まで、回復がみられたそうです。)

 お天気や体調により、見え方にも多少の波があることは事実です。

 しかし、ご本人曰く「これまでと違い、焦点がぼやけてかすんだりせず、物や景色が鮮明に見える日がかなり増えました。夕方以降も楽に目を開けられます。そして何より、家族や友人との外出が苦になりません♪」と、お喜びの声を頂きました。

 

 持病の為、長年封印してきた趣味の水彩画。焦らず、今後回復の具合をみながら自宅で少しずつ筆を握る機会を作りたいとのこと。

 お仲間もいる街の教室へ戻りたいと、早くも来年の意気込みを語っておられました。